この記事を書いた人
氏名:小林正人(こばやしまさと)
役職:営業本部 ショット・サービス営業担当資格:ISO内部監査員、購入品受入検査員、手動塗装業務作業員資格
目次
ミルスケール(黒皮)とは?
鉄板などの鋼材は、高温の状態で何度もローラーにかけられ薄く引き延ばされて製造されています。この加工方法のことを、熱間圧延(ねつかんあつえん)と呼びます。
そして、熱間圧延の過程で生成される鉄の酸化物被膜のことを「ミルスケール(黒皮)」といいます。
鉄が高温に加熱され、空気中の酸素と反応することで「ミルスケール(黒皮)」が生成され付着します。
製鉄所から仕入れる鋼材の表面は、通常「ミルスケール(黒皮)」で覆われており、この状態のまま使用される鋼材は、「黒皮材」と呼ばれています。
また、ミルスケールは、英語で表記すると「mill scale」であり、これを直訳すると「製鉄所で(mill)付いた、うろこ(scale)」となります。
ミルスケール(黒皮)の特徴について
ミルスケール(黒皮)には、下記のような特徴があります。
- 被膜の厚さは不均一である
- 表面がツルツルしている
- 肉眼では見えない小さな穴が空いている
- ひび割れが生じている
これらの特徴のため、塗装の密着性が悪く下地には向きません。
ミルスケール(黒皮)の上から塗装するとどうなるか?
ミルスケール(黒皮)の上から塗装を行うと、時間の経過とともに塗膜がはがれてしまったり、塗膜内部に錆が発生し表面が膨れてしまったりします。
これらは、塗装が長持ちしない原因となります。
ミルスケール(黒皮)の除去方法
塗装を長持ちさせるためには、ミルスケール(黒皮)を除去し、錆の進行を防ぐ必要があります。
ミルスケール(黒皮)の除去方法のひとつが「ショットブラスト加工」です。
ショットブラスト加工とは?
ショットブラストとは、加工物(金属など)の表面に投射材(細かい砂や鋼製・鋳鉄製の小球)を吹き付けたり衝突させたりすることで、表面に小さな凸凹を作り、表面を粗くする加工方法のことです。
この加工により、ミルスケール(黒皮)を除去することができます。また、鉄の表面に小さな凸凹ができることで、塗装の密着性が向上します。
この結果、塗装内部の錆の進行を防ぎ、塗装を長持ちさせることができるのです。
特にミルスケール(黒皮)の除去が必要な場合とは?
特に、長期にわたって塗膜による鋼材の保護が必要な場合には、ミルスケール(黒皮)を除去し塗装を行う必要があります。
下記のような構造物に対しては、ショットブラスト加工を行った鋼材を使用しましょう。
- 橋梁
- 造船
- 電力プラント
- LNGタンク
- 海洋構造物
- 美観を重視した建物
まとめ
- 鋼材の製造過程で生成される、鉄の酸化物被膜のことを「ミルスケール(黒皮)」という
- ミルスケール(黒皮)は、塗装の密着性が悪いため、下地には向かない
- ミルスケール(黒皮)の上からの塗装は、赤錆の発生や塗膜剥離の原因になる
- 塗装を長持ちさせるためには、ショットブラスト加工を行い、ミルスケール(黒皮)を除去させる必要がある
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