この記事を書いた人
氏名:小林正人(こばやしまさと)
役職:営業本部 ショット・サービス営業担当資格:ISO内部監査員、購入品受入検査員、手動塗装業務作業員資格
ブラスト加工には、「ショットブラスト」「サンドブラスト」「グリッドブラスト」などの種類がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか??
目次
ブラスト加工の種類によって使用される研掃材(投射材)が異なる
「ショットブラスト」「サンドブラスト」「グリッドブラスト」では、加工対象物に投射する(打ち付ける)研掃材が異なります。
ブラスト加工の種類 | 研掃材(投射材)の種類 |
---|---|
ショットブラスト | 細かな鋼球(スチールショット) |
サンドブラスト | 珪砂という種類の砂など |
グリッドブラスト | 鋭角な形状をした鉄の粒(グリッド) |
株式会社ニホンケミカルでは、鉄鋼素材に対し、自動ライン(ローラーコンベア式)によるスチールショットブラスト加工と手動ブラスト(エアーブラスト)によるグリットブラスト加工を行っています。(※サンドブラストには対応しておりません。)
「ショットブラスト」「サンドブラスト」「グリッドブラスト」それぞれの特徴とは?
ショットブラスト、サンドブラスト、グリッドブラストでは、それぞれ加工の特徴が異なり、加工対象物の素材や形状・大きさなどによって適した加工方法が選択されます。
ショットブラストの特徴
ショットブラストは、製品の装飾や美観仕上げのために利用されることもありますが、一般的に、塗装前の鋼材の下地処理のために行われます。
加工を行うことで対象物の表面に小さな凸凹ができ、塗装が密着しやすくなり、錆が進行しづらくなります。
また、研掃材として使用される鋼球(スチールショット)は、珪砂よりも硬度が高いため、サンドブラストよりも効果的に固着した錆や汚れを除去することが可能です。
ショットブラストが使用される業界や加工対象物
ショットブラストは、鉄工・造船・建築業界などで活用されており、下記のような長期に渡って塗膜による鋼材の保護が必要なところに使用されています。
- 橋梁
- 造船
- 電力プラント
- ガスタンク
- 海洋構造物
- 美観を重視した建物
ショットブラストの目的、効果、仕組み、種類を詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
サンドブラストの特徴
サンドブラストでは、大型のブラスト室を使用するため、建築用資材や工場設備、タンクなどのサイズの大きな対象物を加工することができます。
また、サンドブラストは摩擦係数が低いため、表面粗さを抑えることが可能であり、母材を傷つけずに滑らかな仕上げが可能です。
他の研掃材と比較して、サンドブラストで使用されるものは安価で軽量のため扱いやすいのがメリットです。しかし、砂であるため形状維持が難しく使いまわしがしにくいというデメリットもあります。
サンドブラストが使用される業界や加工対象物
サンドブラストは、既設構造物の補修工事に「旧塗膜除去や発錆除去」が必要となるケースで活用されることが多いです。例えば、タンクなどの既設の鋼構造物や大型船舶の修繕工事などに用いられます。
他にも下記のような対象物にサンドブラストでの加工が行われています。
- 造船・橋梁・水門・建築・土木・鋼構造物全般
- 錆を嫌う製品(ステンレス)
- 美感に厳しい製品や表面硬度が低い対象物
グリッドブラストの特徴
グリッドブラストの特徴の1つは、研磨力の高さです。ショットブラストと比較して、より強力に錆や汚れを除去することが可能であり、塗装前の下地処理として高い効果を発揮します。
また、大型のブラスト室を使用して加工を行うため、大きな物をブラスト処理することができ、スチールショットでは対応できないサイズや形状をした製品の下地処理を行う場合に活用されます。
このようなメリットがありますが、ショットブラストと比べて、サンドブラストと同様に人的作業を伴うため加工費は高くなります。
グリッドブラストが使用される業界や加工対象物
グリッドブラストは、サンドブラストと同様に、重防食を必要とする製品に使用されます。
サンドブラストとの大きな違いは、研掃材(投射材)がスチールショットと同様に再利用(循環)可能なところです。
まとめ
- 「ショットブラスト」「サンドブラスト」「グリッドブラスト」では、加工対象物に投射する(打ち付ける)研掃材が異なる。
- それぞれの加工方法では、特徴やコストなどが異なる。
- 加工対象物の素材や形状・大きさなどに合わせたブラスト加工を選びましょう!
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