基礎知識

【図解】ショットブラストとは?目的、効果、仕組み、種類をわかりやすく解説

ショットブラストとは?

イメージ:ショットブラスト

ショットブラストとは、加工物(金属など)の表面に投射材(細かい砂や鋼製・鋳鉄製の小球)を吹き付けたり衝突させたりすることで、表面に小さな凸凹を作り、表面を粗くする加工方法のことです。単にブラストと呼ばれることもあります。

ショットブラストはどのような素材に使える?投射材と加工物(ワーク)について

「投射材を加工物の表面に高速で吹き付け、表面を粗くするのがショットブラスト」だと説明しましたが、「投射材」と「加工物」にはどのようなものがあるのでしょうか??

イメージ:ショットブラストの投射材と加工物(ワーク)

加工物(ワーク)の種類

ショットブラストの対象となる加工物はワークと呼ばれ、例えば下記のような素材が該当します。

  • 金属
  • セラミック
  • ガラス
  • プラスチック
  • ゴム

投射材の種類

対象の加工物に吹き付ける粒体のことを、投射材といいます。

投射材には、下記のような素材が該当します。

  • 鋼製・鋳鉄製の小球(ショット)
  • 細かい砂
  • ステンレス
  • スチール
  • アルミニウム
  • ガラスビーズ
  • プラスチック
  • ナイロン
  • くるみの殻

また、投射材は、研削材、研磨材、メディア、ビーズ、ショット、玉、砂というような呼ばれ方をすることもあります。

主には鉄骨などの鋼材への下地処理のために使われる

ショットブラストは、製品の装飾や美観仕上げのために利用されることもありますが、一般的に、塗装前の鋼材の下地処理のために行われます。

鋼材にショットブラストを行う目的とは?なぜ必要なのか?

ショットブラストは、金属などの表面を粗くする加工方法ということがわかりましたが、そもそも、なぜ表面を粗くする下地処理が必要なのでしょうか?

ショットブラストの対象物である鉄鋼素材を例に説明します!

ショットブラストの主な目的は、錆の進行を防ぎ塗装を長持ちさせることです。

弊社では、鉄鋼素材に対し、球形粒子(スチールショット)を投射し、加工を行っています。

ショットブラストで、錆の進行を防ぎ塗装を長持ちさせる仕組みについて詳しく解説していきます。

錆の進行を防ぎ塗装を長持ちさせるためにショットブラストを行う。その仕組みとは?

①加工前の鋼材には、鉄の酸化物が付着している

イメージ:ショットブラスト前にはミルスケール(鉄の酸化物)が付着

ショットブラスト前の鋼材には、ミルスケールと呼ばれる「鉄の酸化物」が付着しています。

この酸化物を除去しないまま塗装すると境界で、錆びが進行してしまいます。

ミルスケール(鉄の酸化物)の上から、塗装すると時間の経過とともに、鉄とミルスケール(鉄の酸化物)の境界で、錆が進行し塗装が長持ちしなくなってしまいます。

②酸化物を除去するためにショットブラスト加工を行う

小さな無数の鋼球(研掃材・ショット玉)をショットブラストマシンから高速で金属表面へ投射することで、ミルスケール(鉄の酸化物)を除去することができます。

③投射を続けると鉄の表面に小さな凸凹ができる

イメージ:ショットブラスト後の鉄の表面

ショットブラストの加工後には、ミルスケール(鉄の酸化物)やその他の異物は除去され、鉄の表面に小さな凸凹ができます。

④塗装が密着しやすくなり、錆が進行しづらくなる

イメージ:ショットブラスト後の塗装が密着

鉄の表面に凸凹がある状態で塗装を行うと、鋼材との密着性が向上します。

また、ミルスケール(鉄の酸化物)などが除去されているため、塗装の内部より錆が進行しなくなります。

ショットブラスト加工を施した製品の場合、塗装が長持ちします!

長期に渡って塗膜による鋼材の保護が必要なところに使用されています。

ショットブラストは、どのような業界・製品に活かされているか?

それでは、この錆の進行を防ぎ塗装を長持ちさせるためショットブラストは、どのような業界、製品に活かされているのでしょうか??

ショットブラストは、鉄工・造船・建築業界などで活用されており、下記のような長期に渡って塗膜による鋼材の保護が必要なところに使用されています。

  • 橋梁
  • 造船
  • 電力プラント
  • ガスタンク
  • 海洋構造物
  • 美観を重視した建物

具体的には、下記のような構造物にショットブラスト加工された製品が使用されています。

【ショットブラスト活用例①】船を支える骨材

イメージ:造船へのショットブラスト活用

船を支える骨材として活用され、コンテナ船のセルガイドや、ばら積み船のハッチカバー、外板の補強材などに使用されています。

【ショットブラスト活用例②】見えないところで橋を支える

イメージ:橋梁でのショットブラスト活用

梁、歩道や車道の裏側にある床版や桁の補強材などに使用されています。見えないところで橋をしっかり支えています。

【ショットブラスト活用例③】風雨にさらされる柱を守る

イメージ:マンション・ビルへのショットブラスト活用

マンションやビルにも、ショットブラストが活用されています。エントランスや非常階段などいつも雨風にさらされる柱などへ使用されています。また高層ビル建設用クレーンのマスト部材にも使用されています。

錆の予防だけじゃない!ショットブラストの主な3つの効果

ここまでで、ショットブラストは錆の進行を防ぎ塗装を長持ちさせるために活用されていると紹介しましたが、ショットブラストはこの他にも効果があるんです!

ショットブラストの実力はこんなもんじゃない!主な3つの効果を紹介します!

錆・汚れの除去

  • 金属の表面についた錆や汚れなどを落とし表面をきれいにすることができる。
  • 塗料を塗りなおさなければならなくなった時に、塗料をはがし表面をきれいにすることができる。

下地処理

  • 塗料・ホウロウ・フッ素・メッキ・接着剤処理の前にショットブラスト加工を行うことで、対象物の表面積が増大し、密着性が向上します。
  • ショットブラスト加工で対象物の表面が粗くなるため、滑り止め、ゆるみ止めの効果を高めることができる。

耐久性の向上

  • 金属製品や部品などがすぐに摩耗・損壊しないように耐久性を向上させることができます。
  • 耐久性の向上により、金属製品や部品の使用寿命を延ばすことができます。

手動?自動?ショットブラストの種類とは?

鉄工・造船・建築業界など様々な業界の製品に対して、効果を発揮しているショットブラストですが、その方法も様々です。

ショットブラストは、大きく「手動ショットブラスト」と「自動ショットブラスト」の2種類に分類できます。

手動ショットブラストとは?

大型加工品など自動化が難しい製品に対しては、手動でブラスト処理を行います。また、手動であれば形状が複雑な製品に対してもブラスト処理が可能になります。

自動ショットブラストとは?

大型ではない製品を大量に加工したい場合には、自動ブラスト処理を行います。

イメージ:自動ブラスト

自動ショットブラストマシンには、「ローラーコンベア式」「ハンガー式」「テーブル式」など様々な種類があります。

自動ショットブラストの方式についてそれぞれのメリットを解説します!

ローラーコンベヤー式

ローラーコンベヤー式のショットブラストマシンでは、ローラーコンベヤー上に対象物をのせて自動的に移動させながらショットブラストを行うことができます。

  • 小物だけでなく、長尺物、鋼板などの製品にも適している。
  • 上下同時にショットブラスト加工をおこなうことも可能である。

ハンガー式

ハンガー式のショットブラストマシンでは、回転フックに製品を吊り下げ、自動で回転させながらショットブラスト加工を行うことができます。

  • 短時間でムラのない仕上げ加工ができる
  • リング状部品、小型クランクシャフト等に最適である
  • 製品同士の接触がなく、対象物に打痕疵や噛み込み疵がつかない

テーブル式

テーブル式のショットブラストマシンでは、回転するテーブルの上に対象物をのせて、自動でショットブラストを行うことができます。

  • テーブルの上に対象物を並べて処理を行うため、対象物同士の衝突がなく、打痕傷がつかない
  • 大きい製品や重量のある製品に最適な方式である

 

まとめ

ここまでで解説したショットブラストの基礎について、簡単にまとめてみます!
  • ショットブラストは、加工物の表面に小さな粒を吹き付けることで、表面に小さな凸凹を作る加工方法
  • 小さな凸凹を作ることで、「錆の予防」「塗料の密着性向上」「耐久性の向上」など様々な効果を得ることができる。
  • 鉄工・造船・建築業界などで活用されている。
  • ショットブラストには、手動、自動など様々な種類があり、加工対象物によって方法を使いわけている。
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